明媛は笑った。
あまり人には見せない、あどけない笑顔だった。

「圓妃様が、ご心配なさります。」

「別に。」

冷えた声だ。
その声に、櫖鶉は驚いた。

「心配しないと思うわ。だって、あの人、妾よりも自分の方が大切だもの。元々、父様に誠心誠意仕えていた訳でもない。妾を慈しむことも無い。そんな所にいたら、心が窮屈。」

圓妃は明媛を愛すことはなかった。
代わりに、明媛も、圓妃を慕うことはなかった。

(そういうものだわ。)

榮氏は霛塋を幽閉していた。
それに比べれば、何でも普通に見える。