沈丁花

母にはもう会いたくない。
もう、母のことは無視しよう。

そう、思っていた。

自分の宮に戻る途中で、くるりと方向転換し、ある場所に向かった。

「鶉。」

「公主様。何故此処に?」

明媛公主は櫞葉公主にも劣らず、奔放な人なので、よく、宮のある後宮から出て来てしまう。

「別に。来たかったから来たの。駄目?」

「見つかったら、叱られてしまいますよ?」

「平気よ〜。櫞葉は市井まで出てくのよ?妾は都に、それも宮中にちゃんと居るもの。」