沈丁花

「母様。」

落ちて粉々に割れてしまった湯呑の欠片を摘んで、圓妃に見せた。

「これ、父様じゃない、好い人に貰ったんでしょう。だから、一人の時にしか出さないのよね。恥、かきたくないから。」

圓妃は、どくどくと大きく鳴る鼓動を抑え、流れる汗を止めるためか、ずっと裳を掴んでいた。

「母様も終わりだよね。」

割れた湯呑の破片を蹴散らし、明媛は去って行った。


(変な話。)

明媛は母の圓妃が嫌いだ。
昔から、心の半分は何処かに消えてしまっていた女である、圓妃が。