「公主様?」

それを、青年の髪に、挿した。

これは、私の形見だ、大切にしてくれ、そう言いたかったが、言えなかった。

そして、代わりに、青年の挿していた古びた簪を己の髪に挿した。


「また来るよ。」

そう言って、櫞葉は背を向けた。