沈丁花

自分が支援したとは言えず、匿名で寄付もした。

青年は櫞葉の衣を見た。
この衣も確か、此処で見繕った。

「櫞葉様は、覚えてらしたのですね。こんな、私奴のことを。」

「あぁ、それどころか、忘れたこともないよ。」

本当にそうなのだ。
高すぎる身分の窮屈さ、世間の悲しさを、全て、青年への恋心で誤魔化していた。

そして、櫞葉がハッキリとした口調で話すのは、この青年と自分の為だった。

恋心を抑えるために。
恋愛対象の、女として、見て欲しくないから。