沈丁花

懐かしい声だ。
櫞葉の目尻には、涙が浮かんでいた。

おかしい。
こんな事で泣くような人間ではなかったはずだ。
年老いた訳でもないのに。

「お久しぶりですね。」

青年は笑った。

「おや、知り合いだったのかい。」

女将は少し驚いた顔をしていた。

「昔、仕えていた貴人でいらっしゃるんだ。」

青年は昔、櫞葉、乳母子と一緒に、よく遊んだ仲だった。