沈丁花

故郷は捨てた。
「玲玲」としての故郷は。

十数年前。
櫞葉は命を狙われ続けていた。

それを危惧した母妃は、同い年の乳母子に身代わりを頼み、ひっそりと櫞葉を逃がした。それも、敵の榮氏の宮に。

まさか、母親が目の敵にしている人間の侍女になるわけがないと、その心理を逆さにとって。

乳母子は、今までずっと、櫞葉の身代わりとして、公主として、頑張っていてくれたと思う。

玲玲が死んだとされた今、その乳母子は用無しになったので、大金を持たせて暇を取らせた。