沈丁花

別に、霛塋じゃなければ、それでいい。

「榮妃様は、お出かけになりました。」

よく、飽きないことだ。
あっちへ行っては、こっちへ行って。

おまけに、不快になる程臭い香をぷんぷんと撒き散らしている。

何が悲しくてこれが母親なんだろう。

赤い色を好む女で、見事な黒髪が自慢らしい。瞳は赤かったのに、偏食のせいで青みがかっていた。

「そう。」

これ以外、何が言えるのか。
霛塋には分からなかった。