「有難う。………貴女、麗鈴だったわね。」

その侍女は麗鈴と言った。
今まで仕えてくれていた侍女頭も玲玲なので、初めて聞いた時は笑ってしまった。

「変わった格好をしているのね。」

背子に肩巾、紕帯や纈裙と、見たことの無い装束を着ていた。

「いいわね、それ。」

えっ、と麗鈴は驚いていた。
麗鈴の格好は、派手ではなかった。

「………有難うございます。私の生まれた奈良の京では、貴族令嬢はこんな格好をするのです。身分によって色とか柄とか制限があって、お洒落にはとても。」