沈丁花

何も知らない。
覚えてない。
だから、ありのままに言っている。

「霛塋公主。明媛や櫞葉の姉だ。齢十九……いや、二十一になる公主で、私と同じ、紅い目をしているよ。」

(自分の娘なのに、覚えていないのか。それに、霛塋と名付けたのも、これなのに。)

「その、霛塋公主が?どうかしたのですか?妾には、関係ない話ですけど。」

榮氏はもう、霛塋のことは忘れてしまったようだ。

今でも、鮮明に覚えている。
霛塋が脱出して暫くした日、榮氏が妃の位を廃された日である。