問題はそこだ。
十九年前に生まれた娘など、いくらでもいる。

「榮廃妃が、離宮に幽閉していらっしゃったのです。ですから、限られた侍女しか知らなかった様です。」

ふうん、と相槌を適当に打った。
興味はあまりない。
だが、己より身分の高い霛塋が、気に入らないのだ。

「ねぇ、頼みたいことがあるんだけど、叶えられわよね?妾の頼み事だもの。」

そっと、明媛は侍女頭に耳打ちした。
侍女頭は、酷く青ざめていたという。