沈丁花

榮氏は死ねない。
もう既に死んでいる、というのもあるが、昇天している為である。

「すぐに貴人達は、廃妃様を忘れるのでしょう。まるで、名もなき野花の如く……………」

吹いてきた風にのって、野草は飛んでいった。


「ちょっと!」

若い娘の声がした。
随分と荒らげた声だと感じた。

その声の持ち主を知っているのか、玲玲は下を向き、顔を見られないようにしてきた。

「其処で何してるの!此処は、妾のお気に入りの場所なの、出てって!」

(と言われても、此処、永寧宮だから、吾の…………)