榮妃は暴れて、鎖が大きな音を立てている。五月蝿い。

『何故、此方におられるのですか。』

榮妃の侍女頭が問うてきた。
かなり、怒りに取り憑かれておる。

『………』

答えなかった。
元々この侍女頭は嫌いだった。

榮妃と侍女頭は、一向に罪を認めず、また、霛塋公主の存在も認めない。

だが、 霛塋公主が離宮の外に出てしまっている以上、認める他ないのだが。

『憐れね。』

それだけは、霛塋の口から聞きたくなかったのだろう。