沈丁花

「あ…………。」

足枷はなかった。
真っ二つに割られていた。

少年が割ったのだということは、直ぐに分かった。

「公主様!」

大きな荷物を持った玲玲が顔を覗かせた。

「玲玲………一体、何が…………」

「此方にお召変え下さい。脱出しますわ、公主様。」

そう言われて差し出されたのは、緑の染めが美しい召物だった。