沈丁花

ガチャリと錠がおりる音がした。

如何したのだろう、榮妃は出掛けたのに、と霛塋は振り返った。

「頼んだわよ。」

別に、声にした訳では無い。
だが、弟には伝わったはずだ。

剣を携えた少年が此方に向かってきたので、霛塋は目をつぶった。殺されると思った。

ピインッ。
鋭い音がして、その後に、ガシャンと鈍い音がした。

途端に、今まで足枷があった部分は、軽くなった。

(え?)

霛塋は驚いて、自分の足を見下ろした。