沈丁花

自分の腕に小刀を当てて、そして、やめた。

自分の手を汚したくなかったのか、いや、違う。

怪我をするのが嫌だったのだ。
既に紅い衣裳が、黒さを増すのが、嫌だったのだ。

当時、霛塋は数えの五つだった。

榮氏は霛塋の小さな手を取って、それに冷たい、硬いものを当てていた。

目隠しをされていた。
何も、見えなかった。

避けられなかった。

鋭い刃は、肉を抉った。鮮血が、流れに流れ、死ぬかもしれない事態にまでなった。