紅い女は、叫んでいた。

『永寧長公主が、永寧長公主が!』

そう、叫んでいた。

虚ろな目をした女がいた。
狂っていた。

「そう言えば、旲瑓様、病になられたそうだったわ…………」

その頃、永寧長公主が自害した。
剣で首を掻っ切ったそうだ。

わけを知っていた。
知り過ぎる程、知っていた。

永寧長公主は、弟の旲瑓に、恋心を抱いてしまい、また、旲瑓もそれに応えてしまった。

(なんて穢らわしい。)