沈丁花

だが、良い機会は、すぐに訪れた。

榮妃が、宴に行くと言ったのだ。
どうやら、其処で得意の舞を披露するらしい。

普段なら用意周到な彼の侍女も、舞台で琵琶を演奏するらしく、珍しく浮かれきっていた。

玲玲は嬉しかった。
不幸な公主様を、連れ出せるのは今回だけかもしれないと、思った。

玲玲は早速、霛塋公主の衣裳や装身具を集めた。少ない給金から出したので、すっからかんになったが、尊敬する我が君の為。それを厭わなかった。

念入りに計画を立て、唯一の肉親たる弟を呼び出しておいた。