沈丁花

「お前は、これ以上罪科を重ねてどうするのだ。妾を拐すなら、やめた方がよいぞ。更に地獄を味わうのだ。」

榮氏は繋がれた糸を切ろうとした。
だが、糸のくせに、小刀は通じなかった。

「それ、切れないわよ。」

雀斑は言った。

「何故よ。ただの糸じゃないの。」

別の女の声がした。
どこか、誰かと似ているような。

「永寧長公主……………」

永寧長公主は既に鬼籍に入っている。剣で自害したとき聞いた。

「その糸はね、報われない人々の恨みの念で出来ているわ。だから、簡単に切れやしないわよ。」