沈丁花

その中には、母がいた。
それを、何とも思わなかった。

ただ、好い様だと思った。

ボロボロに朽ちた赤い着物を一枚着ていた。髪もザンバラで、所々、血に塗れていた。

服が赤かったのは、血に塗れ、溺れていたからか。襟元が少し、白かった。
醜い。目を、逸らしたかった。

『助けて、助けて。』

『赦して……………』

懺悔の声があちらこちらから聞こえた。

莫迦な、愚かな。
これで、吾が君が赦す訳がなかろう。