榮氏はその日、九泉の地(黄泉の国)に向かった。

穢れの多いその地に行ったのは、旲瑓の頼みだった。

“一度、九泉に行ってはくれまいか”

そう言われた時、即座に断った。そんな穢れの多い場所にはとてもじゃないけれど行きたくない、と。

しかし、立場というものは恐ろしく、結局は折れて、行くことにした。

(穢らわしい。)

それが、第一印象だった。
最悪だ。

ふと、母とその家族を思い出した。
その家族には、榮氏は含まれていない。