「忘れたい…………」

榮氏は気丈な女だが、こればかりは心の傷になっていたのだろう。

時折、独りで泣いているのを見かけたことがある。

申し訳なかった。
彼女のことを分かっておきながら、立場の問題上、叶えてやることが出来なかった。

自分には他にも妃がいて、榮氏はその一番上の位だったとはいえ、廃されているのだから、本来は逢うべきではない。

だが、そうしてしまったら、彼女は壊れてしまう。

暫く逢わなかっただけで、彼女は酷く変貌したのだったから。そして、霛塋を幽閉していたのだから。