沈丁花

離された右手に握られた簪で、榮妃の目を突こうとした。

しかし、簪の切っ先は逸れて、目の下に傷をつけた。

榮妃は激怒した。
元々気が短い女だったので、尚更である。

ガツンと鈍い音がして、霛塋が倒れた。

榮妃は霛塋を蹴飛ばしたのだ。
そして、鉄格子に頭を打ち付けられた霛塋は、そのまま気絶していた。

「こんなの、相手にしたって、何も愉しくない。行きましょう。」

榮妃は実の娘にそう吐いて、出ていった。

床は、紅く染まっていた。