沈丁花

暫くして、とうとう、榮氏は死んだらしい。ただ、それが自分では分からなかった。

“莉鸞、何があろうと、榮の名を捨てるのではないぞ”
父は、己死す時に、言った。
己をしっかりと持って、生きてゆけと教えられた。

しかし、この樣はなんなのだろう。
無様ではないか。

紅い襦裙。
紅い簪。
紅い裱。

裸足のまま、何処かへと歩いて行った。

呪われてたのかもしれない。
焦点の合わない目で、何処か遥か遠くを見ていた。