継父は、よく、小生意気だと、榮氏に折檻をしていた。

母は疾っくに、榮の姓を名乗るのをやめてしまった。莉鸞だけが、しぶとく名乗り続けた。

継父好みの派手な衣裳を着て、若作りに化粧を厚く塗る女を、冷静に、莫迦だと思った。

やがて、空を見ることも出来なくなった。

継父とその連れ子が、榮氏を気に入らず、ついに閉じ込めてしまったのである。

部屋の状態は、劣悪だった。
朽ちかけた寝台と、食事をする為の小さな卓だけが置いてあった。

持っていた衣裳は取り上げられ、代わりに、下女よりも粗末な、白一色の服を着せられた。