沈丁花

それは霛塋には当たらなかった。
榮妃は当てるつもりだったらしいが。

霛塋は、それを拾った。
高く売れると思ったし、それにより、玲玲にせめてもの恩返しをしたかった。

別の使い道もあった。
霛塋が使う訳では無い。

榮妃は目がよいので、すぐさまそれに気が付き、霛塋の右手を踏んづけた。

痛かった。
手から、血が流れ出ていた。

咄嗟に、霛塋は空いていた左手で、榮妃の袖を掴んで引き寄せた。

榮妃は隙をつかれ、ガクリと傾いた。