その拍子にバサッとノートを手から落としてしまう。



「ご、ごめん!前見てなくて...!」



ぶつかった相手をよく見ると、それはこのクラスで一番...いや、この学年、いやいや、この高校で一番かっこいいと噂されている三上翔(みかみかける)くんだった。



「べつに」



三上くんは一言そう言うと、腰をスッとしゃがめてわたしのノートを拾ってくれる...前に、


中身が露になったノートをじっと見つめ、

その次にわたしの顔を同じようにじっと見つめた。



「!?」



びっくりして固まってしまうわたし。



だって、三上くんとは二年から同じクラスになりもう6月に入ったけど、

彼と話したことも目を合わせたことすら一度もなかったから。