「家、ここ...」 家の真ん前に着く。 「それじゃ」 三上くんはわたしに背を向けて、来た道を戻ろうとする。 「...っありがとう! ほんとうにありがとう三上くん...!」 三上くんの背中にそう投げかけると、 彼は顔だけこちらへ向けて 「お礼言いすぎだろ」 それだけ言って暗闇に溶け込んでしまった。 暗闇の中、街灯のお陰で、 三上くんが少し笑いながら言ったのが分かった。 三上くんがはじめてわたしに笑いかけてくれた瞬間だった。