「昼休み、すごいびっくりした」
放課後。
わたしはもうバレてしまったので、ほかのカップルと同じように、翔くんとふたりで下校することに。
翔くんは今日バイトがあるため、ファミレスでバイバイするのだ。
「昨日の真緒のほうが驚いたけど」
「あ、あれは自分でもわかんないけど勝手に体が動いちゃって...!」
「ふーん」
翔くんは口ではそう言うけど、表情はまんざらでもない様子だ。
「でもね翔くん。
わたしが彼女ってみんな分かったところで、翔くんのファンの子たちがいなくなるわけじゃないし、
もしかしたら告白してくる子もいるかもしれない。
今までなら、彼女いないってみんな思ってるから仕方ないって思えたけど、
これからは、わたしがいるのにって絶対嫉妬しちゃうし、
また勝手に自信なくしてめんどくさい女の子になるかもしれないよ。
...それでもいい?」
わたしは少しだけうつむいてそう告げた。
「別にいい」
彼は少しの間ののちそう言って、
わたしの手のひらをスルリとすくってぎゅっと握りしめて。
「その都度、俺が安心させればいいんだろ」
なんて最上級にうれしいことを言ってくれる。



