夢の中でだれかがわたしの頭を大きな手のひらで撫でる。 優しく、優しく。 わたし、この手を知ってる。 これはーー 「ん...、翔くん」 ゆっくりと目を開くと、ベッドの横には大好きな彼が座っていた。 「翔くん...おかえりなさい」 わたしは寝起きのため上手く働かない頭でふにゃりと笑顔を作る。 すると彼は“ただいま”も言わないで立ち上がり。 わたしの背中と膝の下に腕をまわし、 ひょいっとわたしを持ち上げた。