わたしはドキドキがおさまらないまま、しばらく身動きがとれず、彼に抱き締められながら固まってしまった。
「え...と...」
小さく言葉を漏らすと、彼は体をゆっくりと離す。
見上げると、彼の綺麗すぎる顔が目の前にあって、わたしは今にもその黒い瞳に吸い込まれそうだった。
「空耳......?」
今、真緒って。
わたしを好きって。
信じられないけど、たしかに彼はそう言った。
「空耳にしてもいいなら、それでもいいけど」
なんていじわるなことを言う彼。
「や、やだっ」
夢じゃないんだ。
三上くんがわたしを好きなんて。
ということは、今日の放課後体育館で先輩に言っていた“彼女”というのは、
わたし、ということになる。



