「いーな、いーな、

真緒もついに彼氏持ちかあ~」



「...いや、彼氏じゃないよ」



「はい?」



「だって、付き合ってないもん」



「はああっ!?!?」



今までわたしにしか聞こえない声でしゃべっていたはずの由紀が、

隣に座っている男子がビクッとするほど大きな声を出した。



その顔は“意味が分からない”といった様子。



「えっと...どゆこと?」



「どゆこともなにも、付き合ってないんだって」



「あのさ、もう一回、は?って叫んでもいい?」



「だめです」



わたしは丁重に禁止する。



一ヶ月間の夏休みが開け今日から二学期。



今わたしたちがいる場所は食堂。



わたしはハンバーグ定食、
由紀はうどんを食している。



由紀に一週間前のあの出来事を話したわけだけど、

由紀はどういうわけかわたしと三上くんが付き合い始めたと勘違いした。



ちなみに、あれから三上くんは自分からキッチンだけがいいと申し出たみたい。