その時、一瞬胸がチクッとなった。

いつもは、課長が一緒に来て助けてくれるのに。

ううん、何を甘えた事を言ってるの?

自分が撒いた種なんだから、一人だって何とかしなくちゃ。


「では、橋本君と一緒に行って来ます。」

橋本君を連れて、私はタクシーで、先方のビルに向かった。

「大丈夫だよ、姫。誠心誠意込めて謝れば、相手だって許してくれるって。」

「うん。」

タクシーの中でも、体が震えている。

ああ、何でもっと濃い色のペンで、発注書を書かなかったんだろう。

何でFAXが届いたか確認した時に、一緒に数も確認しなかったんだろう。

自分を責めても、責めきれない。

それに、500枚で間に合うの?

間に合わなかったら、足りない分はどうするの?