「はい?」

「おまえは、笑顔が可愛いんだから、笑え。」

「えっ……」

顔を赤くしている私に、課長も笑っている。

そんなの、反則でしょ課長。


クールな私の仮面が、課長のせいで剥げて行く。

ダメダメ。

課長のペースにはまっていたら、キャッキャッしているOLと同じだ。


エレベーターがフロアに着いて、橋本君が相手を呼び出してくれた。

「いつもお世話になっております。」

3人で頭を下げて、名刺を出した。

課長の言うように、笑顔笑顔。

それだけは、忘れないようにしなきゃ。


「初めまして。森と申します。」

営業スマイルを見せて、ばっちり決めた。

「君、名前は姫花って言うの?」