「……優衣には言ったのか?」

「言わないよ」


……あの時の優衣と同じだ。


2人は気づいていないだろうけど、すごく似てるんだよな。


「優衣ちゃんのこと、幸せにしてあげてね?」

「それはお前の役目だろ?」

「だって、僕は…」

「……陸矢」


いつも笑顔の陸矢が俺の目の前で泣いている。


あの日、優衣が俺の家に来た時も突然泣き出してびっくりしたっけ。



優衣の隣には、俺なんかよりも陸矢が並ぶべきだ。


「そんな簡単に諦められるほどの想いだったのか? 毎日あんなに好きって言ってたのに」

「そんなわけないじゃん! 僕は何があろうとずっと優衣ちゃんのことが好きだよ! でも…」

「それでいいじゃん。俺に言えない何かがあるのかもしれないけど、ちゃんと気持ち伝えなよ。いつもの好きじゃなくて、もっと本気で」

「いつもは本気じゃないみたいじゃん」


そう言って俺の腕を軽くたたいた。

陸矢は怒るといつも俺の腕をたたいてくる。

機嫌なおしてやらないと。


「放課後、優衣のお見舞いに行くけど…」

「僕も行く」


まだ言い終わってないのに……

少しだけ機嫌なおったかな?


チラッと隣を見ると、何かを決意したのか、陸矢の目は真剣だった。