家族でも、幼なじみでもなくて。

「あら、優衣ちゃん起きたのね」

「はい。突然すみません……」

「気にしないで。円香の部屋が空いてるから、優衣ちゃんの部屋はそこね」

「ありがとうございます」


おばさんは優しく微笑んでくれた。

太一くんの家族はみんな優しい。

……ちょっとだけ、羨ましいな。


「優衣の分、どうぞ」

「太一くん、ありがとう」


目の前に置かれた カレーライス。


「いただきます」

「どう?」

「すごく、美味しい」

「よかった」

「このカレー、太一くんが作ったの?」

「うん」


すごい!

太一くんって
本当になんでもできるんだなぁ。


「お風呂沸いてるから、入ってきな」

「うん。ありがとう」

「着替えは優衣ちゃんのお母さんが持ってきてくれたよ」

「あ、はい」


……お母さんは私に帰ってきて欲しくないんだ。
りっくんといる方が楽しいからだよね。

もしかしたら、りっくんがお母さんに頼んだのかも……



湯船に浸かって静かに息をついた。


これからどうすればいいんだろう?

家には帰りたくなくなっちゃった。

このまま太一くんの家に……って思ったけど、迷惑だから無理。


何もできない子どもの私は
結局、家に帰るっていう選択肢しかないのか。


私はどこから間違っていたのかな……