次の日の放課後、いつもなら来るはずの りっくんは、宣言通り来なかった。


「あれ? いつもの男の子、今日は来ないね」

「優衣ちゃん、喧嘩でもしたの?」

「してないよ! 私が相手にしないから飽きたんじゃない?」

「そうなのかな? 相手にされなくても頑張ってる感じ、好きだったんだけどなぁ」

「真央、あの子のこと好きだったの?」

「好きっていうか、気になってたって感じかな」


ズキンッ

……胸が痛い。

真央ちゃんがりっくんのことを好きだって、私には関係ないことだ。
どうせなら2人でくっついてくれたほうが、私にとっては幸せなんだけど……

って、昨日までの私は思っていたかもしれない。


「あ、ごめんね。優衣ちゃんの彼をとるつもりはないから…」

「え、付き合ってないよ? 私、りっくんのこと嫌いだし…」

「ねぇ、その嫌いって好きの裏返しなんじゃない?」

「どういうこと?」

「だって、嫌いなら無視すればいいのに、優衣ちゃんはちゃんと言葉を返してたから」

「それは…」

「好きってことを認めたくなくて、自分に言い聞かせるために嫌いって言ってたのかもね」


そうなのかな?
自分ではわからない。


「まあ、優衣ちゃんの気持ちは優衣ちゃんにしかわからないから、あたしが言うのも変だけどね。好きなら好きって伝えたほうがいいと思うよ! 頑張って!」

「よくわかんないけど…ありがとう」

「優衣、遅くなった! 帰ろ〜」

「あ、うん。真央ちゃん、美波ちゃん、またね」