妄想彼氏

基くんとわたしは、いままで一緒にいたとき話も弾んでいた。

妄想彼氏の話に基くんは興味を持っていて、詳しく聞いてきて……その話でも盛り上がっていた。

だから、なんとなくうまくいくだなんて期待を持ってしまっていた。


──わたし、ばかだ。

なんて安直だったんだろう。


それ以来、というか今日が失恋してから初めて学校がある日なんだけれど……基くんの姿をちゃんと見ることができないでいる。

基くんのほうは気にした様子もなく、「よう!」と声をかけてくれたのだけれど、うまく返事をすることができず、ぺこりと頭を下げただけに終わった。


幸い、わたしが告白したことを基くんは誰にも話していないらしい。

クラスの噂にでもなっていたらどうしよう、と思っていたから、その点はほっとした。


だけど……胸の傷はいまだ癒えていない。

復活するのに、けっこう時間がかかるかもしれない。