わたしには、ちょっとした特殊能力がある。
半年前、交通事故に遭って頭を打った──
怪我自体はたいしたことなかったけれど、それがきっかけでこの特殊能力が備わるようになった。
いまは高校2年生のわたし、樫原日菜子(かしはら ひなこ)。17歳。
夏休み前のいまも、お昼休み、いまは日課となった「バイト」にわたしはいそしむ。
「お願い、日菜子! 失恋しちゃったから新しい恋に生きたいの!」
そう泣きついてくる親友のひとり、七海(ななみ)の頭を、わたしは「よしよし」と撫でる。
「うんうん、失恋の薬は新しい恋だって言うもんね」
「でしょでしょ! 最初からリアルな男子じゃなくて日菜子が“つくってくれる”彼氏にしとけばよかったー!」
「それはまだ、つくってみてからじゃないとわからないよ。いくら『妄想彼氏』でも、七海の理想の彼氏になってくれるかはふたりのつきあい次第だからね」
「うん、それもわかったうえで頼んでるの! 作成代金もきちっと払います! 先生、よろしくお願いいたします!」
「七海、そうかしこまらないで。じゃ、いっくよー」
「よしこぉい!」
半年前、交通事故に遭って頭を打った──
怪我自体はたいしたことなかったけれど、それがきっかけでこの特殊能力が備わるようになった。
いまは高校2年生のわたし、樫原日菜子(かしはら ひなこ)。17歳。
夏休み前のいまも、お昼休み、いまは日課となった「バイト」にわたしはいそしむ。
「お願い、日菜子! 失恋しちゃったから新しい恋に生きたいの!」
そう泣きついてくる親友のひとり、七海(ななみ)の頭を、わたしは「よしよし」と撫でる。
「うんうん、失恋の薬は新しい恋だって言うもんね」
「でしょでしょ! 最初からリアルな男子じゃなくて日菜子が“つくってくれる”彼氏にしとけばよかったー!」
「それはまだ、つくってみてからじゃないとわからないよ。いくら『妄想彼氏』でも、七海の理想の彼氏になってくれるかはふたりのつきあい次第だからね」
「うん、それもわかったうえで頼んでるの! 作成代金もきちっと払います! 先生、よろしくお願いいたします!」
「七海、そうかしこまらないで。じゃ、いっくよー」
「よしこぉい!」