溝口の提案で、俺たちは場所を移ることにした。
ここでの会計はもちろん割勘。
たくさん食べた松田は得をしたということだ。
外は思ったよりも寒く、吐いた息は白くなって、肌に触れた雪と一緒に儚く消えた。
「もう松田とはぜってぇ来ねぇ」
「そう言っていつも付き合ってくれるじゃん」
何だかんだで仲のいい大谷と松田の後ろを、溝口と歩く。
どうやら次はカラオケに行くらしい。
「シュウ、お前電話しちゃえば?」
溝口に言われて、俺は足を止める。
「シュウ?」
先を行く2人も足を止めて振り向いた。
「俺さ、まだやっぱ怖いけど、サワに電話してみる」
「おう!頑張れ」
3人に励まされて、ちょっとだけ気持ちが軽くなった気がする。
「なぁ、シュウ。俺、お前の気持ち、わからなくもないよ。でもさ、せっかく両想いなんだから、ちゃんと言いたいこと言えよ。こういうのはな、ワガママ言ったもん勝ちなんだよ」
溝口は笑って俺の背中を押した。
「行ってこい!」
「サンキュ」


