呟くように言った俺の言葉を、隣に座ってた溝口は聞き逃さなかった。
「シュウ、遠慮ばっかしてたら他の奴に奪われるぞ」
それを聞いて、俺は溝口に視線をやる。
ストローに口を付けて、カルピスを飲みながら溝口も俺を見る。
「だってアイツモテなかったわけじゃねぇーじゃん」
言われてみれば、告られたってサワから何回か聞いたことあったな。
「でも・・・俺、電話とかしたらぜってぇ会いたくなるし」
「そんなん当たり前だろ。好きなんだから。まぁ取られてもいいって言うなら話は別だけど」
「それはヤダ」
中学の時からずっと好きで、高校に入ってやっと付き合えるようになったんだ。
このまま終わるのだけは絶対に嫌だ。
「つーか、松田!お前さっきから食ってばっかじゃねぇか。ちったぁ話題についてこいよ」
「だって元は取っとかないと」
大谷に言われて、一旦食べるのを止めた松田だったが、すぐに食事を再開。
まぁいつものことだけどな。
「ここカップルばっかで居づらくね?どっか別のとこ行こうぜ」


