「ここから歩いていけるホテルは**ホテルぐらいだよ」


先が見えなくなっているわたしにそうアドバイスしてくれる駅員さん。


「もう...今日は泊まるしかないよね」


「そうだな」


暁がいうとおり、しかたないもん。


わたしたちは、ちょっぴり運がわるかっただけだ。


やっぱり、わたしたちの運は、リトスタとの記念撮影で使い果たしちゃったのかも。


そんなふうにこじつけて、わたしたちは駅員さんが教えてくれた**ホテルへと足を運んだ。


「...え?もう一度言ってもらってもいいですか?」


ホテルに着き、わたしは受付のホテルマンの言葉はうそだと信じたかった。


「現在空いているお部屋はシングルルームひとつになります。
本来ならばシングルルームをお二人で宿泊されるのは禁止なのですが、
JRの決便の関係ということで、今回は特別に宿泊を承ります」


ニッコリ笑ってチェックインの用紙を真ん前に出してくれるお姉さん。


......いやいや、禁止のままでいいんですけど?


特別に承らなくていいんですけど?


「あの、やっぱりけっこうでーー」


別のホテルを探そう。

そう思って願い下げようとしたのに。


隣に立っている暁はスラスラとチェックイン用紙に名前を記入していく。