暁と想いが通じ合ってから、数日が経った。


夕くんとは、あれからふたりで話す時間を作った。


わたしは夕くんの気持ちに答えられないことを謝った。


夕くんは、「久隆なら彩を任せられる」と言ってくれて、最後にはいつもみたいに爽やかな笑顔でバイバイしてくれた。


わたし、夕くんに出会えてよかった。


夕くんと過ごした日々は、これからも心のすみにいい思い出として置いておきたいと思うーー。


ーーー


「暁、なにあの段ボール!?」


お風呂からあがると、玄関に大きな段ボールが置かれていることに気がついた。


わたしはちょうど洗い物を終えたところの暁にそう尋ねた。


「なにって...来月から別のところ住むって言っただろ」


当たり前のようにそう告げた暁。


わたしは言葉を失った。


うそ...。


ほんとに行っちゃうの...?


あのとき言ったときには、すでに契約してたってことだよね...。


仲直りして想いが通じ合ったとしても、解約はしないんだ...。


これからも同居したいと思っていたのは、わたしだけだったのかな...?


行ってほしくないよ...。


そんな素直な気持ちが心に浮かんだ。


だけど、わざわざ解約してなんて、そんなこと口にすることができない。