「遅刻しそうなのに朝ごはんは食べんのかよ」


胸元まである茶色い髪をくしでとき終わったわたしは、食卓にやってきた。


「だってせっかく作ってくれたのに!それに暁のご飯美味しいもん」


「...。あ、そ。

じゃ、俺行くから」


「え、もうそんな時間!?」


わたしが時間を確認するあいだにも、暁はすでに玄関に移動している。


そしてわたしも急いでご飯を食べて、暁に続いた。


アパートを出ると、暁の後ろ姿はすでに米粒くらいに小さくて何百メートルも先にあった。


...さすが、足が速い。


暁は小さいころからだれよりも足が速くて、運動神経抜群だ。


それに、暁が通うのは体育科。


特に陸上に力を入れている名門の体育高校だ。


きっと推薦入学だろう。


走ってる姿だけは、...かっこいいと思う。


わたしはそんなことをふと考えて、今日から通う女子高まで足を走らせた。