柔らかく、甘い、触れるだけのキス。


それだけで、全身がとろけてしまいそうだった。


数秒後、離れた唇と、暁の体。


唇の熱も体温も体の感触もすぐには消えなくて、まるで離れた気がしなかった。


「......受け入れてんじゃねぇよ...」


黙っているわたしに、暁は小さくそれだけ言って、

ゆっくりとわたしに背を向けて自分の部屋に消えていった。


パタンと扉が閉まるころ、

わたしは指でそっと自分の唇に触れた。


自分以外の、感触。


いまだに頭がついていかなかった。


わたし、暁と......。





「......止まらなくなるだろ...」


扉の向こうで暁がそんなことを呟いているなんて、


わたしは知る由もない。