「は、離れて......!

とにかくベッドからおりてよ......!」


わたしは布団で体を隠すのが精一杯で、近づいてくる暁を押したりして逃れることができないため、言葉と表情だけで必死に訴える。


それなのに、暁はわたしのお願いを聞いてくれない。


聞いてくれないどころ、小さなため息をつかれた。


「はあ......そんな顔して逆効果って、わかんねぇ?

誘ってるようにしか見えねぇんだよ」


「は、はあ.........!?」


暁が言っていることが理解できない。


いったいなにが言いたいの......!?


相変わらず鼓動はバクバク鳴り響いていて、体全身が心臓になってしまったかのよう。


暁、わたしの心臓、止める気?


「彩...」


わたしの名をささやきながら、そっと大きな手のひらを、熱を帯びた頬に重ねられた。


暁も、すごく熱かった。


ツカマエラレターー本気でそう思った。


どうしてそんなにも優しい声で、わたしを呼ぶの...。


「...我慢、できねえよ」


吐息混じりに呟きながら、


わたしのぎゅっと押さえている布団を、もう片方の手のひらで剥がそうとしてきてーー


「っ離れてって、言ってるでしょーがッ!!!」


ゴンッ!!!


わたしは両手が塞がっているため、残りわずかな力を振り絞って、思いっきり目の前の悪魔に頭突きをお見舞いしてやった。


ベッドに倒れ、そしてそのまま動かなくなってしまった暁。


た...助かった!!





「...この石頭が」


次の日、暁のおでこが赤く腫れていたけれど、わたしはそんなの知ったこっちゃなかった。


「自業自得ッ!!」