「......じゃあ、こう言えばいいのかよ」


わたしは暁が部屋を出るのを待っていたのに。


暁は小さくそうつぶやくと、ソファから立ち上がったと思えば、扉のほうへ歩いていくのではなくーー真っ直ぐに、ベッドに近づいてきた。


そして、暁がなにをするつもりなのかまったく読み取れないわたしの上にゆっくりとまたがってきたのだ。


「え、ちょ、な...っ」


状況が把握できなくて、うまく言葉も出てこない。


「...お前の体に欲情してるって。

そう言えば、触らせてくれんのか?」


暁の真っ黒い瞳に見つめられて、まるで捕らわれたみたいに反らすことができない。


「ち、近...い...っ」


胸の鼓動がバクバクうるさくなって、暁に聞こえてしまいそう。


暁の浴衣の隙間からのぞく胸板に、また心臓が大きくジャンプして。


「...なあ?聞いてんだよ」


逃がさないかのごとく、わたしの真っ赤な顔をのぞきこんでくる。


暁ってば、いったいどうしちゃったの......。