「ごめん、星野!」
あ、そういえば雪村くんの私服姿、初めてだ。
しかも浴衣だし。
付き合っている訳でもないのに、そんな下世話なことを考えて恥ずかしくなった。
「大丈夫だよ。行こう。」
空気を変えたくて歩き出した。
「星野も浴衣だ。」
「うん、たまたま家にあったから。」
せっかくだからと思って、家の中を探したら暗めの色の浴衣があって着たくなった。
「よく似合うよ。」
「……ありがとう。」
素直に嬉しかった。
「ここ、すごいよな。
毎年人がたくさん来ている。」
「毎年来るの?」
「俺、近所だから。」
「そうなんだ。」
私も中学までは毎年友達と来ていた。


