「星野。」
雪村くんと分かった時点で振り返るのも面倒で、そのまま何?と答えた。
「……もう一度聞く。嘘は吐かないで。」
小さく頷いた。
「……髪の毛、本当はどうなんだ?
染めてるのか、染めてないのか。」
知らない。もう壊れてしまえばいい。
「そうだよ。染めている。
だから何?」
いい加減に帰らないと、また上村さん達に捕まってしまう。
歩き出したのに、動きは止められた。
何なの、と思って下を向くと、手を掴まれている。
心臓が大きく跳ねた。
「……離して。」
「星野が嘘をつかないなら。」
どうしてだろう。なぜか雪村くんには嘘をつけない。
「……うん。」
だから、嘘をつかないで正直に答えようと観念した。


