「あのさ、場違いだけど、俺が星野と話す理由、分かる?」


私もずっと知りたかった。


私なんかと話しても得なんて何もないのに。


「うん、知りたい。」


「本当に下らないけれど、いい?」


「え?……うん、いいよ?」


「俺さ、高校入試の時、すげえ緊張していたんだよ。

体育館から教室に入る時、荷物を両手に抱えていて。

その時に手が滑って筆箱の中身を全部ぶちまけたんだよ。

周りの人もみんなナーバスな状態で、余計なことなんて頭に入れたくないはずなのに、そんなことをやっちゃって。

当然目線はおっかなくて今にもぶん殴りそうな目付きでみんな睨んでくるんだよ。

俺は周りにすいませんすいませんって言いながら散らばった物を拾い集めていて。

でも周りの奴らは目線は怖いくせに何もしてくれないでいたんだ。」